方向転換

The Orb/Okie Dokie It's the Orb on Kompaktと、Sorma/Rakuen 〜The Gradation Of Karma。久しぶりに脳みそ侵入系音楽。どうしてか、時々、こういう音が欲しくなる。渇望、という言葉がぴったり。

両方ともじわりじわりと私の中に侵入してくる。こういう音楽は、もしかすると耳からではなく、皮膚を経由してくるんじゃないだろうか、という感じで、細胞のデスモゾームの間をかいくぐって、音がぞわぞわと小さな虫のように浸蝕してくる感じ、でも、決して不快なものではなく、ある種の快感がある。

私は何故か民族系の音楽も好きで、多分これは、子供のときの体験が元になっているのだろう、と思う。大阪万博、1970年。私はそこへ、何度も足を運んだ。父方の祖父がそこで働いていた(公務員を退職したあとの、管理職、という形で)ことや、きわめて近い地域に住んでいたというだけの理由だったのだろうけれど、本当に何度も通った気がする。そして、その頃の幼い私には衝撃的な体験を、そこへ行けば目まぐるしすぎるほどに受け止めてしまったように思う。その中で、今でも鮮明に思い出せるものがいくつかあって、一つに「インドネシア」の音楽と踊り、あまりに不思議な世界に圧倒された小さな私は、その首が回る様だとか、手首の人間だとは思えない動きを、後々まで視覚的イメージとして引きずることになった。自分にとっては異次元の体験だったのだけれど、深く心に刻み込まれ、強い憧れーいや、もしかすると強い恐怖ーとなって意識の底にずっと存在し続けていたように思う。子供のときにはクラシック一辺倒だった音楽の世界が、高校生のころに洋楽に大きく方向転換し、その後、少しずつ民族音楽の匂いのするものに惹かれ、ある時からゴアトランスやミニマルへと移行し、そして今のような、ジャンルに分けるなら何になるのだろう?アンビエント系と言ってしまうと違和感があるのだけれど、とにかく、こういうのが欠かせないモノの一つになっていることは確かだ。

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東南アジアに行ってみたいな。暑い季節に。あ、向こうは、いつも暑いのか。

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しかし、このステレオシステム、こういう作り込んだ音楽でもイヤな感じが少しもしない。そればかりか、作為的な匂いも消し去ってしまう。なんて懐の深いシステムだろう、と驚く。