Reach for the Sky、再び

ふと、考えるところあって、またこの曲を聴いてみた。数少ない私が知っている邦楽の中の一つ。ただ、この曲には特別な思い入れがある。

この曲に出会ったとき、私は病院の待合室で順番を待っていた。その時期の私は、そうとう酷い状態だった。待合いで座っていることさえつらかった。あまりにつらすぎて、全てのことから逃げ出したい、その頃の私はそんなことばかり考えていた。でも、その逃げ出す力さえもない、最悪の状態だった。そんなとき、そこにあったテレビ、見ていたわけでもなく、聞いていたわけでもなかったのだけれど、そこから流れてくる一つの歌のフレーズが耳に飛び込んできた。

「今、心、解き放ち、風そよぐ丘で、高く広がる空に、思い切りあははと笑ってみようよ」

どうしてだかわからないけれど、はっと気づいて、そのあとに続く歌詞に耳を傾けた。・・・「始めなきゃ、届かないよ」「夢へと繋いでいけるように」「今すべて、うけとめて、陽の当たる丘で、軽く口笛を吹き、思い切りあははと笑ってみようよ」・・・

何だか涙が出た。そして、もう一度、始めから聴いてみたいと強く思った。どういう言葉が綴られているのだろう、と。でも、その当時すぐにはその音楽を探す気力さえ、私にはなかった。しばらくして、少し状態がよくなってから思い出して、手に入れたのは数ヶ月だか、1年だかが経っていた。

「いたずらに過ぎていく時間が夢へと流れ出す」「迷わずに明日を選んでいける、そんなふうに思えるよ」「たよりなく揺れている自分が夢へと動きだす」「歩きだそう、手をつなぎ、臆せずにまっすぐと」「悲しみの昨日にさよならを」

そんな言葉の一つ一つが、私の疲れきった身体と心に温かだった。闇夜の中にいる私にも、一瞬、日向の優しさを思い出させてくれたような気がした。それからしばらく、何かあるたびにこの曲を聴いた。自分の中から力が湧いてくるようになるまでは、本当によく聴いたものだと思う。

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今でもこの曲は大好きな曲の一つに入っている。ときどき思い出しては、なにかそこから考えたりする。そういえば、日記にも何か書いた気がするな、と思って探してみたところ(そのために、右側に「日記の検索」の機能をつけたというわけで)、やっぱりあった。 http://d.hatena.ne.jp/lovergirl/20050805/1123251032、ここで、またこの歌詞から連想したことを書いていた。初めてこの曲に出会った時とは全く違う連想だけれど、こんなふうに、また違う考えを導いてくれるということは、私はこの言葉がとても気に入っているということだと思う。