そして「巨人」ふたたび

先週にひきつづいて、「巨人」に泣かされた。

本当は夕方から出かけるつもりでいたのだけれど、なんとなく体調不良で予定変更、おとなしく家にいることに。何の気なしに覗いたfacebookにて、某魔人さんが紹介されていた音楽リンクを辿ってみると、「巨人」BPO、サイモンラトルのプログラムだった。ハイライト的な紹介の動画があったのでクリック。うわ、なんてカッコいい「巨人」だろう、と驚き、そのままユーザー登録、おやつも準備して聴くことに。

サイモンラトルは、BPOの指揮者に就任したときから知っていたけれど、どことなく華のある人だなあ、という認識、その当時聴いた曲(なんだっけ、忘れちゃった)が、なんとも線が細い感じに聴こえたせいか、それほど熱心に聴いてみる気にならなかった、残念ながら。でも、少しイメージは変わっていた。華がある、というのはそのまま、上品、かつ洗練されていて、その上かなりの迫力もあって、うわー、こんなに「美しい」解釈ってできるんだ、と驚くパフォーマンスが繰り出される。やられた。

映像がある、ってのも大きいのかも。どのパートも、トップは本当に美しく、観ているだけでもじーんと興奮が迫ってきますよ。ああ、そっか、これは、カメラワークも素晴らしいんだなあ。随所で「見たい」ところが見れるという感じ。曲の解釈もわかった上での編集なんだろうなあ。そんなこと、当たり前なのかな。いやいや、今までそんなふうに思ったことはなかったから、これは相当、作り手にも気合いが入っているに違いない。

それにしてもさすがBPO、すべての楽器が素晴らしい。今までの「巨人」のイメージを覆す音楽。どこまでも美しく豊潤な音が続く。それにしても、「巨人」はいくつもの演奏をCDやLPで聴いているけれど、そのうちのいくつかは全く別物だなあ、と感じる。これだからクラシックは面白い。

準備していたお茶とおやつにも手が伸びないまま、最後まで聴いた。終わった瞬間、膝の上のオーケストラに向かって、私も一緒に拍手をしていた。こうして聴く音楽は、どんなに涙が落ちても、どんなに身体でリズムをとっても、激しくヘッドバンギングしても、ぶんぶん腕を振り回しても、誰にも迷惑がかからないのがいいなあ。

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聴き放題だぜ、すごいぜ、と思って登録したけれど、これ、続けて聴いたりしたら、身体がもたないよねえ。