と、思ったけど、ヌヴーで

そうそう、ジネット・ヌヴーのがあったはず、とCD置き場から探してきた。48年モノラルライブ録音、私が初めてブラームスのバイオリンコンチェルトをそれと意識して聴いたのは、この盤だった。

あー、やっぱり、この人、凄いや。冒頭を聴くだけで、はー、と感嘆。心に感じる準備ができているせいだろう、もう、のっけから涙がぽろぽろ落ちて、目を開けていられない。古い録音にもかかわらず、このバイオリンがつやつやでありながらも、力強く、演奏はしっかりと迫力に満ちている、ということが手に取るようにわかる。技巧だとか、音程だとか、そんなものを軽く超えた、音楽としての素晴らしさが伝わってくる。いや、技巧も音程もしっかりしているのだけれど、それだけじゃない、もっと次元の違うものが、がんがん伝わってくる。

特に第3楽章のスピード感溢れる演奏は凄い。オケも凄い。身体の底から揺さぶられる。ヌヴーのバイオリンの弓が弦の上を大きく躍動しているのが見えるような気がする。

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ヌヴーは、若くして飛行機事故で亡くなった。亡骸が発見されたとき、彼女は両腕の中にしっかりとストラディを抱いていたという。

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ふう。朝から違う世界に逝ってしまっている気がしてきた。あはは。マンションの補修工事をしているらしく、さっきから外からの騒音がひどくなってきたので、そろそろ音楽を聴くのを一旦休もう。