オイストラフのブラームスコンチェルト

お勧めに従って入手、朝の気分がなかなか落ちついたいい感じなので、続いて聴いてみる。1960年録音のクレンペラー / フランス国立放送管弦楽団のもの。オイストラフ、と意識して聴いたのは、もしかするとこれが初めてかもしれない。私はバイオリンを自分で弾くというのに、演奏者の名前だとかには、ほんと、疎くて、というか、ハーンを知るまでは、ハーンほどに心を打ち抜かれた経験がなかったからか、演奏者よりも曲目重視で聴いてきたところがある。もちろん、キライな感じのバイオリンだってあるし(それは割とすぐに判別できるようになって次からは買わなくなる)、逆に好きな感じ、というのも存在するのだけれど、あまりに私にとってハーンを聴いたときの衝撃が大きかったものだから、他の演奏者がかすんでいるところはある。だけど、これはいい、とてもいい。オイストラフ、ちゃんと頭にインプット。たしかにハーンはこの人の影響を受けているのだろうな、ビブラートの取り方が似ている。で、私はこの細かめのビブラートが自分でも好きだったりする。演奏によっては、色気がないと感じることもあるけれど、このビブラートのかけ方なら、短い音にだって表情がつくし、音全体が途切れなく歌われているような気持ちになる。もちろん、ビブラートだけの問題じゃないのだろうけれど、私の苦手な演奏は、だいたい、うねるようなビブラートのかかっているモノが多いから、好きかキライか、という点においては、大きな問題なんだろう。

と、話がそれてしまった。ブラームス、というのは、前にも書いたことがあるかもしれないけれど、どうしてか今まであまり縁のない作曲家だった。聴いたことがない、というわけじゃないのだけれど、リピートして聴くことがあまりなかった。ここ最近、プレイヤーにセットすることが増えてきているけれど、まだまだ「ブラームスとはどういうイメージか」というものが出来上がるには全然足りない。

ああ、でもこの演奏はいいなあ。甘くて切なくて力強く美しくて深い。確かにこれを聴くと、ハーンの演奏は、まだ青いんだなあ、と思わされる。心を鷲掴みにされて、揺さぶりをかけられているようで、頭の芯がきーん、としてくる。久しぶりに、音楽を聴いて涙を流した。音楽そのものに泣かされることは、このところなかったような気がする。

あとでハーンのものも、また聴いてみよう。