Yo-Yo Ma 「Obrigado Brazil Live in Concert」

何も知らずに、このCDを買って帰った。何も知らなかった。とにかく聴くために、買ってきた。

ああ。のっけからやられた。音楽って、楽しい。このCDでは、Yo-Yo Maの魅力がいっぱいで、必ずしもずっと主役でいるわけではなくとも揺るぎない存在感なのだけれど、そんなことを超えて、とにかく、「音楽」が楽しい。

実は元々、私はこの手のアフロ系のもの、言ってしまえばラテン音楽、そういうカテゴリーの音楽がとても好き。でも、この小さな編成で作り出される音は、カテゴリーを超えた「音楽」だった。まあ、最初から、どんなカテゴリーの音楽が繰り出されるか、曲名さえも見ずに聴き始めたのがよかったというのもあるかもしれない。

クラリネットの音がぽーんと抜けていて爽快。ライブ感がストレートに伝わってくる。ギターのテクも凄い。ヴォーカルのいかにも南米系に洗練された雰囲気の響きが心地いい。軽くてしっかりしたパーカッション、うっとりするようなピアノ。そこにYo-Yo Maの歌って踊る、じゃなく、歌って響くチェロが絡む。なんだこれ、どうして、今、ここでこの演奏が繰り広げられているんじゃないんだ?というような、妙に悔しいけれど、でも、本当はここで演奏されているんじゃないか、と思い込むことさえ可能な生な感じに包まれる。どうして聴衆は静かに聴いていられるんだろう?と思ってしまうほど。踊り出してしまう人はいなかったのか?と思っていたら、最後に聴衆の声の入る場所があった。黙ってなんていられるはずないよな、と思わされる「音楽」が、次々に繰り出されるコンサート。ああ、この夜に、そこにいられた人たちは、なんて幸せなんだろう。

そして、その音楽を、聴くことができた私も、本当はとてもラッキーなんだ、ということも、私は知っている。いい時間を過ごした。土曜日、雨上がりの夕方。週末の夜は、これからだ。

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ありがとう、Toruさん。

ああ、最近、私、ありがとう、ばっかり言ってる。