初めてのカメラ

そういえば、私の初めてのカメラ体験は、高校生のときだったんですよ。それも、一眼レフ。オヤジさんが買ったのだろうけれど、そのへんのことは全く記憶にないのですね。記憶にあるのは、そのカメラが大きくて重かったこと、OM-1だか、そういうような名前だったこと、それから、家族で(というか歯科医師会の旅行で)行った最初で最後のハワイ旅行(うちの家族は旅行嫌い?)の時に、父でなく、私がなぜか首からぶら下げていて、ぱしゃぱしゃやってたこと、そして、出来上がってきたプリントを見て、子ども心に「しまった」と思ったこと。

私がカメラ係ということだったのでしょうか、というか、写真はどうでもよかったんでしょうか、とにかく、家族で並んで撮ったものは一枚もありませんでした。おまけに、ダイヤモンドヘッドや、火山の火口、フラダンスショー、パイナップル畑の写真も全然。海の写真も、多分、なかった気がします。ああ、これじゃ、ダメだ、使い物にならないよ、と高校生の私は、小さな胸を人知れず傷めていたのです。けど、叱られた記憶もないので、誰も期待していなかったんでしょうね。

で、私が撮ってきた写真は、わ、これはいつも見ている芝生と形が違う!という公園の芝生や、わ、これはいつもそのへんを歩いているのと種類が違う!という鳩や、わ、これはいつもの道路とは全然違う!という信号機や、わ、この机はなんだか素朴で白くて可愛いよ!というガーデンファニチャー……。つまり、今、私が撮っていそうなモノと、殆ど変わらない、「ただの物」ばっかり、これじゃ旅行の記念写真じゃなく、お散歩写真だよ……。あ、唯一、ちょっと旅行っぽい、といえば、初めて乗ったジェット機の窓から見た雲の海。着陸したホノルル空港。首にかけてもらったレイの花。……いや、これじゃ、ますます今の写真と変わらない……。

ということを、この前から思い出していて、三つ子の魂百まで、というのは、このことなり、などと思っているわけです。そんなわけなので、私は、「こんなモノ」ばっかり撮る、というのは、もう、どうしようもない、というわけですね。ははは。ははははは……(涙)