秋晴れ

なんていいお天気。

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昨日、診療中にめまいと耳鳴りがやってきて、嵐が通り過ぎ、気づけばやっぱり海の中にいるような静寂。ああ、なんてこと、繰り返すとは言われていたけれど、こんなに繰り返すものなのか、と心底悲しくなってしまった。帰宅して、しばらくはもう放心状態のまま座り込んでしまい、絶対に練習するはずだったバイオリンにも触れず、自分の弱さに涙が溢れてきて、拭ったり、こすったりしているうちに目は恐ろしく腫れ上がっていたようで、数時間後に何とか動いて鏡をみたときには、すっかり目尻が切れてしまっていたり、普通は二重の目は完全に一重、この世のモノとは思えない形相になっていて、ああ、こんなになっちゃった、だとか思ったけれど、そのことについてはもう感じないくらいに頭が疲労していて、何にも考えられないような状態になっている自分を発見、そのまま幽霊のようにお風呂に入り、幽霊のようにふらふら歩いて寝室に行き、ベッドに潜り込めば隣にはいつものにゃー、抱きしめながら眠りについたのは多分2時は回っていたのだと思う。それでも、今朝はいつもの時間に目が覚める。呆れる。

耳の聞こえ方は、やっぱりおかしくて、でも、それについては、もうどういう経過を辿るかは想像できているので、諦めの境地、時間が経たないとどうしようもないもんね、と自分でつぶやき、もう多分、今、私の立ち位置が最悪なんだろうな、と考えて、そうだった、昨日もベランダの水やりは適当にしかしてなかったなあ、と思い出し、今日はたっぷり、と6Lのジョウロを2往復、空を見上げれば、吸い込まれそうな青、夏の鮮やかな青とは違って、私の目にも優しい青。季節は巡ったなあ、知らない間に、と、この数週間、季節を感じることさえ忘れていた自分の状態を思う。本当はもっとちゃんと手入れをしないと、もうダメにしてしまいそうな鉢があるというのに、やっぱりそこまではムリだった。諦めて部屋にもどり、でも、あまりに空気が気持ちいいので、開け放したまま、伽羅のお線香に火を付けてみる。これも久しぶりな気がする。

明日のホール練習のために、今日は移動する日なのだけれど、結局練習は全然できていない。かといって、今、弾いてみよう、という気持ちにもやっぱりなれない。せめて、と思ってCDプレイヤーにマーラーを入れて鳴らし出す。これも久しぶり。鳴らし出してみると、少し身体がしゃっきりした気がする。ちゃんと自分のパートはわかれて聞こえてくるし、ああ、弾けないところはまだあるけれど、なんとかホールまでは行こう、周りには申し訳ないけれど、せめて、今、出せる精一杯の音を出してこよう、そんなことを思う。

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ここから私はどこへ行くのだろう。