帰宅

マンションの扉をあけて、「ただいまー」と言ったとたんに、なぜかバランスを崩した。にゃーが部屋の中から出迎えてくれに玄関まで来てくれたときには、もう涙が溢れていた。靴をぬいで、荷物を下ろして、部屋の中に入り、カーペットの上においてある大きなクッションに突っ伏して、泣いた。しばらく声を上げて泣いていたら、にゃーが隣にやってきて、にー、と鳴いた。その顔を見ていたら、昨日までのあれこれが、十数年分ごちゃ混ぜになった感じにこみ上げてきて、何が何だかわからない感じに、すっかりしゃくり上げながら、子供のように泣いた。疲れて涙がかれるまで、泣いた。

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やっと、ここまで、来たんだ。そう思って「自分」を感じたときには、涙は止まっていた。

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大丈夫。